箸に感謝を

人間、誰しも歳をとると丸くなるというのは正しい話しではありません。齢80を超えた父は若い頃と変わらぬトンガリようでして、我が儘放題、いや言葉が悪いので言い換えますと、好みがとても細かい。

些細なことも自分の思うとおりにならないと、収まらなくて癇癪を起こすのは昔のままですね。

ことは先日の話しなのですが、珍しくウチの両親と食事へゆきました。

場所は、イタリア料理店。

これは珍しいどころではありません。僕は多分、ウチの父とイタリア料理店に入ったのは初めてだと思います。父が外食で和食の店以外にはいるとは驚きですよ。この人と外で洋食を食べた記憶といえば、百貨店の大食堂か、親族の結婚式くらいですから。

さてその店は、イタリア料理店という構えですありますが店内の雰囲気はとってもカジュアルでして、価格も非常にお安いお店。料理のメニューは至って少ないものでして、この日の料理は、皆でパスタセットを注文いたしました。

パスタと言えばナイフにフォークを使って食べるのが普通かと思いますが、父が使うのは『箸』です。

箸しか使わない。

ここでナイフやフォークを勧めようものなら癇癪を起こすのは間違いないですから、そっとしておきました。

その日のパスタは、冷製パスタ。夏にあわせのでしょう、ひんやりした舌触りが心地よく、おいしくいただいきました。

透明なガラスの器の中央にやや黄色いパスタ、その上には生卵の君、

冷製パスタ

しかし差し向かいの席で冷製パスタを箸で食べるわが父の姿は、どう見ても冷麺を食べてるようにしか見えない

イタリア料理店でありながらラーメン店を思わせる光景に、パスタとは、箸を使うだけでかくも印象が変わってしまうものかと知る次第でした。

イタリア料理ですが箸で食するところ。左に見える透明の器に入っている麺は冷麺にも見えなくはないですが、冷製パスタです。

イタリア料理ですが箸で食するところ。左に見える透明の器に入っている麺は冷麺にも見えなくはないですが、冷製パスタです

さて、今日は8月4日、『箸の日』という記念日でもあるそうです。

お察しのとおり8が「は」4が「し」の語呂合わせが由来です。

大阪は能勢町にある涌泉寺(ゆうせんじ)ではこの8月4日に箸供養として、古いお箸を焚き上げて供養する行事も催されるのだそうです。

箸の日は、もうひとつ別にあって、それは11月11日。これは箸が並んで知る姿から由来してるのだとか。年に二度も箸の日あるとはどうかと思いますので、お箸業界で話し合って統一してほしいところです。

さて箸は日本に中国よりわたって、およそ1300年だと言われていますが、日本の食卓では欠かせません。食事ではナイフやフォークよりもよほど便利な道具ですから、世界文化遺産に選ばれた和食は箸で食べなくてはどうも落ち着きませんし、箸文化は大事にしてゆきたいものです。

とはいっても人間、歳をとって手指が拘縮するなどして、箸を上手に持てなくなるときが来ることもあります。そういってもやはり自分でお箸を持ちたいというお方が多いのです。

しかし箸を使うことはもとより持つことさえあやうい。

ちょっと情けなくなってしますのですが、そういうことを解決する介護箸という介護用品が存在します。

ここで紹介する『使いやすいお箸 やじろべえ 介護箸』は、箸が分離しないよう可動式のジョイントで2本の箸をつなぐ構造になっています。

使いやすいお箸 やじろべえ 介護箸

使いやすいお箸 やじろべえ 介護箸

素材は天然木ですし、普通のお箸を改造したような感じです。プラスチックのお箸を口のなかに入れと、どうしても味気なさを感じますが、このやじろべえはそういう食感とは一線を画しているのが特徴です。

机の上に起きても箸先が机から浮くような仕組みですから、衛生的でもあるんです。

できるだけ長く自分の手で食事をとりたいのは誰の心のうちにもあります。諦めないでトライしてください。

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