節分の巻きずし
さて、昨日は二月三日で節分。
節分とは、四季(立春・立夏・立秋・立冬)それぞれで始まりの日の前日を指すので、年に四回あるのですが、一般には立春の前日である二月の節分ばかり意識されているようですね。
それは昔、太陰暦を用いてた頃、二月の節分とは大晦日を意味していたので、ことさら強く庶民が意識していたことの名残だとかともいわれていいます。
二月の節分に豆まきをして、邪気を払うのは、新しい年に悪いことを引き継がないでおこうとする気持ちの表れかもしれません。豆まきの起源はよく知らないのですけど、そんな気がします。
その節分で、豆まきをするのは古くからの風習ですけど、一方では、違うことも流行っています。
二月の節分は、恵方に向いて無言で巻きずしを丸かぶりすると縁起が良い。
そういって、太い巻きずしを恵方巻きと呼んで食べるひとが増えました。
これをどうやら大阪の古い風習だと思っているひとがいるそうですが、
それは真っ赤な嘘です。
僕が子供の頃は、そんなこと誰もしていませんでした。
古くから大阪に住んでいて、四〇歳代以上ならば、知っているはずです。豆まきはすれど、巻きずしを食べてるひとなど居ませんでしたよ。
その恵方巻きについてネットで検索すると、起源は諸説あるようですが、本当のところは、大阪にある海苔問屋のおっちゃんが言い出した作り話だと思います。
その魂胆は、海苔の売り上げを増やすためだとか。
海苔は、お中元やお歳暮の贈答用で需要が大きくなるのですが、年明けはお歳暮の需要もなくなって、海苔の売り上げが落ちてしまいます。それで売り上げを増やすために、節分に絡めて海苔を使う巻きずしを食べるお話しを作ったとか。
このおっちゃん、昔はテレビ番組、たぶん関西ローカルの情報番組で、恵方巻きの発案者は自分であり、目的は海苔の売り上げを増やしたかったと言ってたので、ご覧になったかたもいらっしゃると思います。
違う放送局、違う番組で、何度か出てらしたし、
このおっちゃん、どういうお名前だったかを忘れてしまたのが、めっちゃ残念。どなたか覚えている方がいただら教えていただきたいところです。
どのみちこの恵方巻きの丸かぶりとやらは、古くともせいぜい阪神淡路大震災より数年前に始まったもので、大阪の古い風習だとはとても言えないのです。
いまではスーパーやコンビニ、そのほかの飲食店で恵方巻き販促に、いそしんでいますから、おっちゃんの目的は大当たり。
場外ホームラン級の大当たりですよね。
一方で廃棄ロスの問題が生じるほどで、良いことばかりではないのですけど。
海苔問屋おっちゃんの仕掛けにのるのも悔しいですけど、巻きずしが美味しいのは変わりないですから、昨晩は我が家でも巻きずしをいただきました。
丸かぶりするのはどうかと考えて、1本の巻きずしを包丁で6つに切って食した次第。
丸かぶりしないと縁起が良くならないのかと思えば、こうやって切って食べることを「海苔切る」=「乗り切る」というゲン担ぎだと言う話しもあって、ものは考えようというのを改めて思い知る次第です。
それなら、今年は皆で切った巻きずしを食して「新型コロナウィルスの苦境を乗り切る」とすれば、少しは盛り上がったのではなかろうかと思います。
あの海苔問屋のおっちゃん、テレビ出てた頃でもかなりのお歳でしたら、おそらく鬼籍にお入りになってるかと思います。ご健在ならこれくらいのことを言ってそうな感じでしたね。