スポッとチェア・高齢者の姿勢保持を重視した介護椅子。
自動車のシートを作って数十年というメーカーさんが、高齢者向けにリビングや寝室でも使える椅子を開発なさって、そのデモンストレーションで(つまり営業なんですが)、昨日、当店へいらっしゃいました。
『座る』ということをとことん突き詰めて作ったそうです。
一日という時間のなかでも、高齢者はどうしても座る時間が長くなりがち。
健康な人はなかなか気づきませんが、座った姿勢で長時間いると、きっちり座ることこそが実は健康の素なんですよ。
特に背中が丸まってくると胃腸が圧迫されつづけます。すると胸につかえた感覚が続いて、食事を美味しいと
感じにくくなるのです。
また、背中が丸いと頭頸部が突き出した姿勢になるため、下顎が広報に引かれると同時に口を閉じにくくなるので、咀嚼しにくくなり、飲み下しにも支障をきたすようになります。
また背中が曲がっていると、呼吸にも良くない影響が生じます。
背中がまるくなっていると、骨盤が後ろに傾いて、脊柱が屈曲しますから腹腔や胸腔が押しつぶされた状態になるからです。
それに、背中の筋力が落ちてしまうと、だんだんと前かがみで座るようになり、視界も狭くなります。
加齢とともにどうしても生じる体型の変化にあわせて、そういう悪い座りかたに対応しようとする意気込みで作られたかのようですね。
特徴のひとつがこの座面の形状。見れば分かりますね、お尻を包み込むような形に凹んでいます。
この立体的な成形が座った時の体圧をうまく分散させるので、圧迫感をやわらげる効果を出しています。
座面の中には高反発ウレタンがはいっています。低反発ウレタンだと、経年劣化が早いのですが、これでは長持ちしそうな印象です。
メーカーの開発者さんが言うには、お尻の形を約200人分もかたどって、最適の形状を選び出したとか。
実際にうちのスタッフがすわって見ると・・・・
「お尻がすっぽりハマまるので、きちっと座れるように感じる」んでそうです。
それに、「座面で太ももの裏が、当たる部分も微妙にへこんでいるので、こんなところがしっくり来るとは良い感じ」なんだとか。
ひじ掛けにも気配りがあって、普通なら木材やプラスチックの硬い素材がむき出しのところを、柔らかいビニルレザーで覆っています。
わりと気遣いが細かい社風なのかもしれません。
面白いのは、座面が前と後ろの方向に3段階のスライドをすること。
この効果は、円背のひとでもピッタリと座ることができる効果を生み出しているんだとか。
さすが自動車メーカーさんですね。
なお、この椅子、製品名は『スポッとチェア』と言います。
「と」の時が平仮名なのがポイント。『スポットチェア』と「と」をカタカナで記せば、プラスチックチェアを差すんですけど、これは木製フレームの椅子。ちょっと名前が紛らわしいですね。
フレームは岐阜にある家具製造の会社さんが手がけているとか、純日本製というのは、支持されるポイント醸し得ません。中国人に人気が出そう。