ピープルデザインのアパレル
「いまどきの若い者と言えば・・・・」と云って、社会の劣化を嘆く言説は、枚挙にいとまが無いほどですが、こと差別意識や障害者問題についてなら、今時の若者たちは、30年も前の若者達などより、ずっと高い意識を持っていると思います。
僕の若いときとは、1980年。いまよりずっと競争至上主義で、弱肉強食を正当と考えるひとが多かったように思います。
いまの若い人たちにも競争意識はもちろんあるのですが、弱者や自然との共生が大事と考えている傾向はずっと強まっているように感じるのです。
先日、さる若いデザイナーさんが率いる事務所のスタッフさんから当店にご連絡がありました。
去年(2014年)の11月に興したファッションブランドで、世の中の全てのひとに向けたデザインを標榜なさっているとか。
早速にサンプルをお借りしました。
これは、これなりにカッコいいかも。
折り鶴がモチーフなのは、千羽鶴が平和の象徴だからなおだとか。
着てみたかったのですが、サンプルのシャツは僕が着るには小さくて、願いはかないませんでした。
シャツなのですがボタンホールがありません。ボタンがあるはずのところには薄い金属の丸い板。
ボタンホールのあたりにも丸い板。
ボタンの代わりに磁石でくっつける構造になっています。
これなら手指の動きに制限のあるひとでも、独りでシャツを着ることができる可能性がおおきくなります。
サンプルと一緒にいただいた資料のなかで、このブランドの特徴を次のように説明なさっています。
- 健常者も障がい者も分け隔てなく着れるファッション
- 年齢国籍性別問わず好まれるデザイン
- 機能性があり使いやすいデザイン
- 笑顔あふれる温かいデザイン
- 優しさあふれる綺麗なデザイン
それを『ピープルデザイン』と呼びます。
いいですね、ピープルデザイン、快適空間スクリオの目指すところもこれに近いところがあります。
さて、このテンボさんのメインキャラクターが髑髏(どくろ)。
誰にでも好かれるデザインを目指しているそうですが、大丈夫でしょうか・・・・・。
ところで、このブランドの名前は『テンボ』と云います。この春、東京コレクションに出品して、障害者のモデルを採用なさった発表で、それは史上初めてこととか。
ピープルデザインで世の中を変えたいとはこころざしが高くてあたまが下がります。
ひるがえって快適空間スクリオは、大阪を変えることさえできません。それどころか半径500メートルにさえ、しょぼしょぼにしか浸透していません。
「いまどきの若い者と言えば・・・・」などと、決して言えたものではないですね。