俵屋宗達はTPPに反対するに違いない

「風神雷神図屏風」京都は建仁寺に所蔵される国宝です。

日本で教育を受けたひとならば、誰しもが教科書で1度くらいは見たことがあるでしょう。

それよりもテレビコマーシャルで怖い顔した風神が突然に「はぁ~、はぁ~はぁくしょんっ」とクシャミをしたあと、「風邪ひいてまんねん」と情けなさそうにつぶやく台詞のほうが印象に残ってるかもしれませんね。

屏風は江戸時代の初期描かれ、作者は、俵屋宗達だと言われいます。

宗達は、純粋に画業だけで生計を立てていたわけでなく、俵屋を屋号として、扇絵、屏風絵、料紙の下絵などを含め、紙製品全般にわたる装飾を生業としていたらしいと言われています。

その俵屋宗達と、本阿弥光悦の二人を祖と位置づけた芸術の系譜は「琳派」(りんぱ)と名付けられ、日本の美術史では非常に大きな位置を占めています。

その琳派が京で誕生して今年が400年目にあたるのを記念して京都国立博物館で特別展覧会が催されています。

『琳派誕生400年記念 琳派 京(みやこ)を彩る』
会期は、2015年11月23日(月・祝)まで。

京都国立博物館、旧館の前に琳派誕生400年記念 琳派 京(みやこ)を彩るの看板が立っています。

琳派誕生400年記念 琳派 京(みやこ)を彩る

先月のことですが、その展覧会をちらっと覗いてまいりました。

俵屋宗達の作品群をじっくり見たなど、もちろん初めてのことです。

感想など、僕みたいな素人がとやかく言えるものではありませんが、それでも述べると、宗達は古典を継承するだけでなく、ときに非常にラジカルな手法を取り入れて作品(おそらく本人にとっては商品)を作りあげたのだと感じる次第。

先人の作品を参照して再構築し、時には引用元を超えるモノ作りあげることができたのが俵屋宗達さんです。

イマ風に言うとすば、二次創作の達人とも言えるのではないでしょうか。

もし宗達がいまに生まれたならば、コミケで大活躍していたかもしれません。

ほとんどの芸術は模倣することで腕を磨き、レベルを上げるといえるのですが、宗達はその模倣だけにとどまらず、解釈や新しい画法をとりいれ新しく作りあげることに、ことさら秀でていたのだと思います。

ひょっとするとイマなら著作権侵害だとの争いになったのではとも思えるとっころです。

さて、日本ではいまその著作権の運用方法ががらっと変わりそうな気配です。現在の法律は原作者が著作権侵害だと訴え出ないと罪にならないところを、こんどは、検察だけで著作権侵害と判断して訴追できるようにしようとしています。

先日政府間で妥結したTPP交渉のなかにこの著作権の取り扱いが変わると報道されてます。理由は、著作権ビジネスを保護するためだとか。

その著作権法の改正法案は一端が報じられていますが、コミケだけは対象外にしようとか、無理な運用を強いてでも政府は導入したいみたいです。TPPのお約束だからでしょう。

TPPの交渉の報道を見聞きすると、経済活動の優先ありきで、文化の自主性をともすれば放棄しても構わないような姿勢が見え隠れしますが、そうとばかりは言えませんね。

もしこの動向を宗達が聞いたとすれば、きっと猛烈に反対するのは目に見えています。

TPPの知的財産分野での議論を宗達があの世で聴いたとすれば、きっと「はぁくしょんっ」とクシャミのひとつも出そうなところです。

「風邪ひいてまんねん」とは言わず、「何やってまんねん」と。

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